こんにちは。
THE CLINICの今西理也です。
本日は顔の加齢性変化に関してお話しします。
まずは下の写真をご覧下さい。
左が20代、右が70代のお顔になります。
左の方が若い顔と、誰もが思われるでしょうが、なぜそのように感じるのでしょうか?
一般の方は無意識に老化の特徴を認識しています。
形成外科、美容外科医は、その特徴を医学的観点から分析し、アンチエイジング治療を行っています。
今回は、私たちがどのように顔の加齢性変化を認識、分析しているかをご説明しようと思います。
それでは、顔の上から順に見ていきましょう。
文章を読んだ後、上の写真をご覧いただくと、具体的なイメージがしやすいと思います。
こめかみ
徐々に凹んでいきます。
原因としては、
・骨の萎縮
・脂肪の減少
・脂肪の移動
があります。
眉毛
形態としては徐々に下がっていきます。
原因としては、
・眼窩の上縁の骨の萎縮
・前頭筋(眉毛を上げる筋肉)の働きの低下
・眼輪筋(瞼を閉じる筋肉)の緊張の増加
・前額部の皮膚の弛緩
があります。
ただし、加齢により上眼瞼皮膚が弛緩したり、腱膜性眼瞼下垂が進行すると、視野を確保するために、常時がんばって前頭筋を使い眉毛を上げるようになります。
その結果、前額部に太い横じわが刻まれることになります。
眼窩、上眼瞼、下眼瞼
眼窩(眼球がおさまっている頭蓋骨のくぼみ)の容積が拡大していきます。
また眼窩内脂肪が萎縮します。
そして、眼球を支えている靭帯がゆるんできます。
その結果、眼球が奥に落ち込み、目が小さく見えるようになります。
さらに、上眼瞼を開くための眼瞼挙筋腱膜が伸展、ゆるむことに加えて、上眼瞼の皮膚も伸展するので、上眼瞼はますます下がってきます。
下瞼瞼においては、眼球を支える靭帯と眼窩周囲の軟部組織が緩むことで、眼窩内脂肪が前方へ突出するようになり、さらに眼窩下縁の骨、SOOF(眼窩下縁部にある深層脂肪)が萎縮することで、より目袋が目立つようになります。
また、笑顔になる度に眼輪筋が収縮するため、外側部分にしわ(通称カラスの足跡)が形成されます。
眼窩容積の拡大、上顎骨の萎縮
※Arthur Swift et al. The Facial Aging Process From the “Inside Out” Aesthet Surg J. 2021 Oct; 41(10): 1107–1119.より引用
鼻
鼻尖が徐々に下垂し、鼻が長くなります。
原因としては、
・上顎骨の萎縮
・下外側鼻軟骨の平坦化
・各種靭帯や線維性組織が弛緩
があります。
また、皮脂腺が増加し、鼻軟骨が肥厚した結果、鼻尖が膨らんだ外観になることがあります。
鼻唇溝(法令線)
徐々に深くなっていきます。
原因としては、
・上顎骨の萎縮
・深層脂肪の萎縮
・靭帯(zygomatic ligament)がゆるむことで、浅層脂肪である頬脂肪体(malar fat pad)が内側下方へ下垂する
があります。
中顔面全体としては、上記のような変化が生じる結果、頬の高さが低くなり、下側に皮膚や脂肪が集まったような外観となります。
※Arthur Swift et al. The Facial Aging Process From the “Inside Out” Aesthet Surg J. 2021 Oct; 41(10): 1107–1119.より引用
A 浅層脂肪
B 深層脂肪
深層脂肪は、骨にしっかりと固定され、ほとんど動かない。表情筋の滑走、浅層脂肪のサポートをしている。
反対に、表層脂肪は可動性がある。
一般的には加齢により、深層脂肪は萎縮し、表層脂肪は移動、肥大する傾向にあるが、区画や個人差がある。
上口唇
徐々に薄く、長くなっていきます。
また、赤唇部の面積が減少し、cupid’s bowが目立たなくなります。
原因としては、
・上顎骨の後退
・筋肉、脂肪の萎縮
・結合組織の肥厚
があります。
さらに、縦じわや横じわが生じます。これらは、口唇を繰り返しすぼめることが主な要因で、喫煙者に顕著に認められます。
マリオネットライン、フェイスライン
マリオネットラインは強調され、フェイスラインは下に凸の形状となります。
原因としては、
・下顎骨の萎縮
・malar fat pad、jowl fat pad、Buccal fat padの下垂
があります。
また皮膚弛緩の影響を強く受けるため、加齢による変化が大きい部位です。
このように、顔の加齢性変化は、骨、筋肉、脂肪、皮膚の変化が複雑にからみあっておこります。
解剖学的な加齢性変化と、ご本人の形態的特徴を加味した上で施術を行っております。
お顔の施術はぜひお任せ下さい!
クリニックでお待ちしております。